日本ではバブル景気崩壊に少し遅れて、大学受験人口が減少に転じました。それまで人生の目的といえば、良い大学に入って良い会社に就職すること、と相場が決まっており、それ以外の選択肢を選べば出世出来ないと、誰もが当然のように考えていたものです。しかし土地神話が崩れ、潰れないはずの金融機関が潰れ、不況が長引く中でサラリーマンの生活もリストラや倒産に脅かされるようになりました。そして少子化を受けて大学受験人口が、大学入学定員とほぼ同数になるに至り、今度は優秀な人ほど高卒で働こうとするという時代になっています。どんな選択をするにせよ、短い学生生活において文系だったのか理系だったのかという区別が、その後人生の半分以上を占めることになる社会人生活にまで及ぼす影響は限定的です。もちろん研究者などでは、40歳を過ぎると発想が固くなってしまって使い物にならなくなるといわれる場合もあります。しかしその一方で、あれこれと寄り道をした人生を送っている方が、常識外れのアイデアを実現させることもあるという、嬉しい誤算もあるものです。つまり学歴がモノを言うのは、せいぜい最初の就職先を選ぶ時ぐらいのものです。その後は社会人としてどのような経験を積み、また仕事以外にどのような勉強をし、あるいはどのようなものに興味を持っているのか、といった多様性が評価の対象になるのです。そのため例えば文系出身であればプログラマーになることは無理、と諦める必要はないのです。
そもそも今の時代には、学生時代からパソコンやタブレットを使い慣れているのが普通です。このような身近な例に限らず、世の中では金融機関のATMなど様々な場面で、コンピュータが規模の大小を問わず活用されています。そのようなシステムを動かすために必要とされる直接的なスキルや知識には、数学などを得意とする理系出身者が馴染み深いといえるでしょう。しかし例えばプログラミングは、慣れれば誰でも出来るようになりますが、その開発のためには、人の求めるものを人を動かして完成させる必要があるのであり、この対人関係を苦手とする理系出身者も少なくないのです。そのため人を喜ばせるために、あるいは人の役に立つために、プログラマーになった人の中には文系出身者も案外いるものです。GREEの田中社長もその一人です。つまりあくまでプログラミングを、人の生活をよりよくするための手段と考え、自分がアイデアをプログラミングによって実現すれば、インターネットを通じて自分の掛けた時間の数倍、あるいは数十倍の価値をもたらすことを知っているのです。
フリーランスになっても、インターネットにいつでもどこでも素早くアクセス出来るという大変便利な今の環境は、案件探しに有効です。これまでの営業といえば、人脈から少しずつ仕事の輪を広げるといったものでしたが、ネット上の潜在的なクライアントの数は桁違いです。そこでブログやホームページや専門サイトを上手に活用して、実績をアピールすることは大切です。しかしもっと効率よく仕事を獲得したければ、クラウドソーシングなどを利用したサービスや、求人情報や開発案件の情報を提供してくれる専門のエージェントを利用する手があります。
プログラミングの基礎を学んで、プログラマーとしての現場経験を積むうちに、最初は未経験から始めても、やがて上流工程を担当するようになるでしょう。プログラミングは慣れれば誰でも出来るようになるものですが、その知識を基に上流工程では、更にコミュニケーション能力が求められます。例えばクライアントから直接要求を聞き取って、正確にそれを汲み取った設計や要件定義が出来なければなりませんが、それは理系よりもむしろ文系が得意とするところかもしれません。相手の立場を想像して上手に情報を聞き出す技術や、相手に分かりやすく伝える技術が必要になるのです。
プログラマーを目指してプログラミングの基礎を学ぼうという場合、独学でやり通す覚悟を固めるのは並大抵のものではありません。初心者向けの定評のある書籍も出回っており、ネット上にも情報は溢れていますが、そもそもふさわしい学習環境を整えなければなりません。そして疑問を解消するための検索方法を知らなければ歯が立ちませんし、躓いても自力で起き上がらなければなりません。その点学校に通えば、カリキュラムに沿って無理なく学習出来るように指導してもらえますし、共に頑張る友人も出来て、実践向けではなくても様々な経験も出来ます。